受診された患者さんの人格を尊重し、患者さんが納得される医療を心がけて40余年が経過しました。
昭和35年 医師になった私は、外科医を志し、昭和医科大学 第一外科 村上忠重教授の門下生となったのであります。しかし、当時胃癌は手術を行っても完治しないことが大部分であり、早期診断、早期治療の必要性が強調されていました。恩師村上忠重教授は早期胃癌研究の日本における第一人者であり、早期胃癌の概念を確立され、全国に広めた先生であります。
この様な先生のご指導のもとで、私は昭和36年より胃カメラ診断を担当することになり、胃カメラ診断実務と早期胃癌診断に関する研究を行うことになりました。したがって、当時は私が撮影した胃カメラ像によって胃を切るか、切らないかが決められたのであります。
昭和43年 恩師のご指導により、財団法人 早期胃癌検診協会中央診療所の内視鏡責任者として勤務することになり、内科医に転向することになりました。ここでは、今日の胃レントゲン検査法を考案した千葉大学内科の先生方の指導を受けながら、バリウム検査による早期胃癌発見のための努力を多数例行いました。そして、胃レントゲン検査についても自信を付けました。もちろん、高血圧、糖尿病などの内科一般についても東京駅近くの会社に勤務する会社員を対象に多くを経験しました。
昭和51年3月 これまでに培った医療技術を第一線の医療の場で生かしたいと考え、私の個人診療所の開設を決意しました。それまでに私を信頼して診療に来られる患者さんは広く関東一円におられましたので来院されやすい様にと思い、新宿の三光町交差点近くのビルで開業をいたしました。診療所名は位置がわかりやすいように三光町交差点の地名をとって、三光クリニックと命名したのであります。
しかし、開業から約3年が経過したところで、住まいのある大田区千鳥から毎日の通勤時間の無駄が実感されましたので、自分が生まれ育った大田区のJRの駅近くであれば、遠方の患者さんにとって、それほど不便ではないのではないかと考え、現在地 蒲田駅近くに診療所を移転したのであります。
その結果、今日まで来院された患者さんは29,890名であり、その間に診断した胃癌患者は445名でありました。最近10年間(平成18年より平成27年)では発見した早期胃癌、即ち治療により完治可能な胃癌例は54名であり、そのうち35名は外科的に胃切除を行うことなく内視鏡で癌病変を切除することで胃癌を完治させました。
大腸癌も早期診断し内視鏡切除にて完治させた患者も多数経験いたしました。
院長 崔 相羽